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イニシャルHの研究

近況(5/29)

最近読み終わった本

・『現代ロシアの軍事戦略』(小泉悠、ちくま新書

www.chikumashobo.co.jp

これは非常に良かった。従来型の軍事行動を伴う戦争以外にも、戦争の手段は沢山ありますよ~という入り口からまず面白かった。とはいえ、最後に必ず必要になるのは歩兵による制圧なわけですが。あとは軍事費がいくら増大してもロシアの総GDPから考えて限界はありますよね、みたいなところとか、訓練された兵隊の価値とか。歴史年表と歴史の教科書をなぞるだけでは考えが至らなかったところの筋道が立ったというか。

・『辺境・近境』(村上春樹新潮文庫

www.shinchosha.co.jp

読み終わったって思ってたけど、ノモンハンの章はまだ読んでなかった。まぁいいや。安西水丸と女性編集者と讃岐うどんを食べ続けるエッセーがあって、それが一番面白い。笑いが止まらない感じ。さすがに一流の文学者が書くと、うどん一つでも表現豊かかつ多様な色を持ったものとして想像できるようになるからすごいですわね。どこに出てくるか忘れたけど、「自分の国ではお腹が空いた顔をしていたら、誰かが家に招き入れて、ご飯を食べさせてくれる。だけど、日本では違う。お腹が空いた顔をしていても、誰も歓待してくれないんだ」っていう言葉がなんか胸に響いた。

 

・『サラ金の歴史』(小島庸平、中央公論新社

www.chuko.co.jp

サラリーマンへの金融なんだから、そもそも庶民に根付いていたのでは?というところから、話は明治時代の借金事情にまで立ち戻る。これがまず面白い。みんなちょっとした金貸し事業をやったりしていたようで、利率が案外えげつない。闇金もびっくりってレベルの利率だ(年利に換算すれば。そんなに長期を見通して貸しているケースはあんまり紹介されてなかった)。融資を回収できるかどうかが大事で、債務負担力を担保するための信用調査と、そのコストのトレードオフが主題となっていたかな。サラ金は規模の経済らしく、融資額と店舗数をとにかく増大させていくんですけど、そうなるとどんどん与信の面で怪しいところにも目をつむらないといけなくなって、その辺と国の規制(とそれを後押しした世論の批判)が相まって一気に……。でも昔々からお金を借りるなんてことはみんなやってたわけで、サラ金がなくなったからってみんなが借金しなくなくなるわけじゃないよね。ということで、ひととき融資とかが紹介されていた。リボ払いとかもあったかな。小口融資の多様化なのかもですね。

 

結構前に読み終わったけど感想を書いていない本

どれもすごく面白かった。ということを書こうとしたはずなのだが……

山舩晃太郎 『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』 | 新潮社


海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること~ | 山と溪谷社

 

目の見えない白鳥さんとアートを見にいく | 集英社インターナショナル 公式サイト

 

この辺は基本的にタイトル買いで、中身もとても良かった。あとこれ、めっちゃ長いけど何とか読み終わった。かなり登場人物が多くてややこしいので早く映画で見たいですね…。映像の方がもっと楽しめると思う。

ザ・コーポレーション キューバ・マフィア全史 上 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン

 

東南アジアに関する住宅市場調査していたのでついでに、って感じですね。川端基夫先生の研究を思い出して懐かしくなりました。食事回数とかチェーン店と屋台の関係とか、日本と全然違う事情がやっぱり国々にあって、これはこれで面白いです。

コンビニからアジアを覗く|日本評論社

 

 

読み終わっていない本

漫画:

・ひらやすみ

ダーウィン事変

・海が走るエンドロール

ちはやふる

BECK

サマータイムレンダ

・北北西に~

・SKETCHY

・九龍城ジェネリックロマンス

恋は雨上がりのように

・詩歌川百景

 

それ以外の本

・ハッパノミクス

小説すばる6月号(の新庄耕の地面師2)

・新東京百景

これめちゃくちゃ面白いです。おすすめ。