Like a notebook

イニシャルHの研究

そもそもデザイナーって

前回に引き続き、勉強がてら図書館で背表紙で関心を抱いた本を好き勝手に読んだりしている。

 

1. そもそもをデザインする

「そもそもデザイナーって、普段どうやって仕事してるんだろ」みたいなことをちょっと前から気にするようになっていた。この前、イラストレーターの人とそのマネージャー的なポジションの人とお話しする機会があって、その時に「創造性いる仕事って、普通のマネジメントすると失われるのかもしれないですね。進捗の平均化というか、成果や納期が予測できる形になればなるほど、その役割に求められるものが生まれなくなっていく(ケースも少なくないのでは)と思います」、とか言ったのだった。

 デザイナーというのは画家や歌手のような並外れた創造性が必要で、それは何となく他の仕事と違うというイメージがあった。大御所の仕事の武勇伝は現代の凡庸な僕から見るとどれも現実味に乏しいし、かといって、就職活動用のパンフレットでは表層的すぎる(し、技術書は仕事のフローというよりも一工程しか示してくれない)。この本はそのあたりの課題が解消されているので良かった。博報堂の若手のデザイナーたちがいろんなお題(箸置き、昆虫食、からあげ、法医学、建設シート)を与えられて、クライアントのために沢山汗をかく姿を描いたドキュメンタリーみたいなものだと思う。

 この本は各テーマごとにクローズアップされる社員が違うので、五者五様の働き方を見ることができる。最後の方の文章にも記されていたと思うが、個人個人の生き方ないしは生きてきた中で得た技術と、彼ら/彼女らの性格によって、仕事への向き合い方やアプローチは全然違う。箸置きの担当者は、唐揚げの担当者の解決策は思いつかなかったと思うし、逆もまた然り、という感じだった。それは、目の前の素材の差よりも、個々人の目線とか切り取り方の問題のように感じた。お題をどこに差配するのかというのは、管理職の腕の見せ所であって、これはお題への理解と、部下の特徴の理解の双方ができなければならない。

 このあたりが上手く機能して、やっと事態は動き出すというわけで、そのあたりはあまり他の会社と変わらないのではないか、という気がした。そもそも、を考えるという姿勢も哲学チックではあるものの、もっとビジネスライクな言い方をすれば、知的労働者が好きそうな自己啓発本とかビジネス書にもたくさんありそうな話だし。「Aを考えれば/Bをすれば~~で成果/資産/恋愛etc...が上手くいく」みたいな書籍は色々あるし、その前提条件をできるだけ多くの人が満たせるように抽象的な法則を書いてくれてるのが、世の中のビジネス書だとは思う(「デザイン施行でビジネスが…」とか)

 とは言うものの、これまた書籍内でも言及されているように、本質/出発点から目の前の物事を考え直すことをできる/できないということにも、ある程度向き不向きによる。となってくると、「じゃあ、できる/できないの違いはどうして生まれるの?」みたいなことが気になってくる。遺伝なのかな。環境なのかな。ピンカー先生の本でも読んでみようと思います。

 

www.hakuhodo.co.jp

小説を書いてみよう。』も「創造的なものを生むことが求められる一方で、それを職業として安定的に行うために、どの程度まで仕事をルーチン化なり構造化しているんだろう」ということを気にして読みだしたと思う。

そのほかは、鑑定100番っていう世界の不動産の写真を撮った本も読んだ。台湾の大学の借地に学生マンション建てさせて更新時には物件ごと大学所有に変わる、みたいな制度は面白いなと思った。あとデトロイトのビルってみんな古いんだね。少年ジャンプの名付け親の自伝とかも読んだし、脚本の書き方、CMの宣伝効果を計量的に考える本とかもさらっと読んだけど、読み切ってないしそのうちまた。