Like a notebook

イニシャルHの研究

2019年8~9月に読んだ本(一般書など)

備忘録です。

 9月は本当に何をしてたんだろうというくらい、全然なにも読めなかったな。しょうもない(というのはよくないが)試験の対策とか論文をいくつか読んだぐらいかなー。移動中に鷺沢萠の小説を読みかけたぐらいか。

一般書

8月

人間の本性を考える(上)心は「空白の石板」か(スティーブン・ピンカー著, 山下篤子訳:2004, NHKブックス

www.nhk-book.co.jp

3年前くらいに、山形浩生のHPの記事を漁っていたら、ピンカーの話が良く出てくるなぁということに気づいて(芸術に関して話したページだったと思うけど詳細は後で追加する。ピンカーの『心の仕組み』への書評はここにある)、それからずっとピンカーの本を読みたい本リストに入れていた。それから数年、ようやくとりかかったのがこの本だったというわけです。上巻はブランク・スレート論に対する批判を中心に展開していく感じだが、これだけでもかなり面白い。今でも「まっさら」とかいうイメージって赤ちゃんとか育児とかで出てきそうなワードだけど、この本を読むとなんかもぞもぞっとするようになる…かな。ぼくだけかな…。続きも読まないとなあ…。この本の内容が『心の仕組み』とどれくらい違うのかというのはわかんない。

 

 

ミクロ動機とマクロ行動(トーマス・シェリング著, 村井章子訳:2016, 勁草書房

www.keisoshobo.co.jp

これはたしか、経済学101で公共経済学に関する記事を見つけて、読書リストに入れたんだったと思う。ワクチンの接種行動に関する記事が経済学101にあって、そこから公共経済学のカテゴリにたどり着いたんだったかな。この本の題名を調べたら上手に内容をまとめてある記事が色々あったので、僕がやる必要はそんなにないかなあと思う。

「沢山のなかの一人の行動の影響というのは小さなものだと思いがちだけど、全体における構成員(の属性)の比率やバランスを確かに変えてしまう。その小さな数値の変化が、次の誰かの行動のきっかけとなり、新たな行動を引き起こし…そういうことが続くと、やがて全体でも大きな変化が起きていくのだ。」みたいなことが書いてある。

実際に将棋盤を用いて、5章の分居モデルを実践してみたら、かなりすごい分居ができあがって感動したというかぞっとしたというか…。読みやすしいい本だと思う。現代の経済学でこういうモデルがどういう評価を受けていて、どんな発展を遂げているのかを知りたいところではある。

 

知ってるつもり——無知の科学(スティーブン・スローマン, フィリップ・ファーンバック著, 土方奈美訳: 2018, ハヤカワ書房)

www.hayakawa-online.co.jp

人間が知っているのは、「どこにアクセスすれば、詳しい知識を得られるのか」というネットワークであって、およそほとんどのことについて、事物そのものについて詳しく知っているわけではない。ということが書いてあったと思う。ネットワークはものごとへの知識それ自体ではないけど、そこを勘違いしてしまうと、自分の知識量を過大に見積もってしまったりする。ネットワークを活用した知識の分業体制というのは、人類の発展にはとてもいいことで、そこに貢献することが求められている…というのはなるほどなぁという感じ。

ピエール・バイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』のなかでも、書籍の「目次」だけを読む読書家というのが出てきたが、それの発想に近いのではないかと思う。

 

不健康は悪なのか(ジョナサン・M・メツル, アンナ・カークランド編著:細澤仁, 大塚紳一郎増尾徳行, 宮畑麻衣訳:2015, みすず書房

www.msz.co.jp

はてブロ内でこの本について言及してる人って、案外多いんだな…。自分のやってる(やってた)こと関係あるかと思って読んだけど、特に面白い本ではなかった。内容忘れちゃったな。機械があればまた。

 

サーフィン・スケートボードパルクール(ベリンダ・ウィートン著, 市井吉興,  松島 剛史, 杉浦愛 監訳:2019, ナカニシヤ出版)

www.nakanishiya.co.jp

学会発表でこういうことをやるから読んだわけだが、結構前だったので忘れてしまった。サブカル系なり関連するスポーツの研究者なら読んで損はないと思うけど、一般にはお勧めしない。読みやすくはない。学問的にこういうスポーツを対象としている本でいえば、社会学者(今もそうなのかな?)の田中研之輔が書いた『都市に刻む軌跡: スケートボーダーのエスノグラフィー』の方が読みやすいと思う。日本の事例だし。

モラルからの逸脱行動のかっこよさ、みたいなのが好きというか興味のある人なら、『「立入禁止」をゆく-都市の足下・頭上に広がる未開地-』(ブラッドリー・L・ギャレット 著,東郷えりか 訳, 2014, 青土社)なんかも良いのではないか。

 

ぼく、街金やってます(テツクル著:2019, KKベストセラーズ

www.kk-bestsellers.com

既に別のところで本の感想については簡単に書いたので、ここでは割愛します。読みやすいですし、面白かったです。筆者が業界に入った経緯と、それに付随するエピソード集です。

 

その他

DISTANT DRUMS(写真集。撮影:濱田英明,  アートディレクション:西山勲:2019)

artlabo.ocnk.net

noteの方がこういうアート志向なジャンルを取り扱ったエントリは多いのかなーと思いますが。この本については色々あるんで、別の機会にしたいと思います。海外の街なかの写真を集めた写真集なんですけど、JALとかの機内誌みたいに旅の意欲が掻き立てられる、とかはないと思います。同じ場所に行ったはずはないんですけど、イギリスの写真とか見ると、「あぁ、そうそう。こんな感じなんだよね」っていうなつかしさをすごく感じます。

 

9月

社会疫学<下>(リサ・F・バークマン, イチロー・カワチ, M・マリア・グリモール編著, 高尾総司, 藤原武男, 近藤尚己監訳:2017, 大修館書店)

www.taishukan.co.jp

去年の初夏に上巻を読み終えて、早1年少々が経ってしまった。 膨大な参考文献リストこそこの本の価値。ただ、これについては僕が書いた備忘録ノートを後で別のエントリとして置いておこうかなと思います。結構高い本ですし、僕の雑なノートでも誰かの一助…いや、0.1助くらいにでもなるかもしれないと思って…。

 

 

そのほかには、『謙虚なコンサルティング』とか『ユダヤの商法』なんかも読みましたねそういえば。前者は「お前がぺちゃくちゃしゃべるんじゃなくて、相手の求めることをちゃんと聞いてあげなさい」という本です。おっしゃる通りです。後者はなんというか、落合信彦wikipediaを思い出します。武勇伝集みたいな感じで読んでました。