後者の道徳(映像ではimmoralityって言ってたっけ?)とか夫婦仲というのもまた、かなり文化的価値観に依存していることがわかるだろう。こういう理由はフィリピンに限らないもので、例えばアフリカのマラウィでも取り上げられている(Chimbiri 2006 , Anglewickz and Clark 2013)。この国ではHIVが問題となっていて、避妊がHIV感染を減らすためにも有効かつ重要な手段となっているのだけど、「たとえHIVに感染しているとわかっていても」避妊は行わないという語りが報告されている(Gombachika and Fjeld 2014)。マラウィでは世代によって性道徳の変化が起きていて、若い世代のコホートでは、結婚前に他の人と性交を経験済みである割合が高くなっている。また、external marriage(婚外交渉)もそれなりにあるらしい。ただし、これらの相対的に「非公式な」関係においては、避妊を行うことや避妊の話題をパートナー間で持ち出すことには抵抗が少ないようだ(参考文献は後で足しときます)。
こういうことからわかるのは、健康(先の動画でいえばmaternal health とchild healthと、あとneonatal healthも射程となる)を提供するための決定要因というのには、だいぶ文化的な壁というのが大きくかかわっているということだ。そういうわけで、近年ではtransdisciplinaryだとかinterdisciplinary(この違いについてはそのうち)をお題目として掲げて研究している人もいるみたいなのですが…。